第58回 NHK杯囲碁トーナメント 決勝戦
黒番 山田規三生 九段 解説 武宮正樹 九段
白番 依田紀基 九段 司会 万波奈緒 二段
第58回NHK杯の決勝は、予想はしていませんでしたが、嬉しい対局観戦になりました。
海外にも名を知られる過去5回の優勝を誇る依田紀基九段に対して、連続18回出場で変化する石の流れの中で死活を一瞬に判断する山田規三生九段が初優勝をかけて戦いを挑みます。
● 山田九段
黒、右上隅星でスタート。これに対し、白、左上隅星に打ちました。黒の律儀さに対し、白は多少、黒の心理を波立たせようとしているのでしょうか。
黒、第3手で右下隅小目に、白、左下隅小目と、接戦勝負を意識しているように見えます。
○ 依田九段
黒、左下隅カカリに、白も右下隅にカカリ。 黒、「6・十六」と白1子に圧力をかけようとしますが、白も右下隅にツケ。 黒がなおも左下隅の白にコスんでくると、白は左辺大場へと目を転じました。
● 山田九段
黒は、左下隅にこだわってできた厚みを利用し、「12・十六」と下辺に勢力を作ります。
○ 依田九段
白、右下隅で黒を攻めて地をつくります。 黒「6・十」と中央をつつむ形ををとるのに対し、白は左辺側を白模様にします。
● 山田九段
左上隅で両者ツバ競り合いの後、黒、「8・三」と打って中央から右半分を黒の勢力にしました。夜空で見る大三角形を思い起こさせます。
これらの黒の石に配置は、かつて王 銘琬九段が説いたゾーンプレス説を目の当たりにします。
(盤面をクリックすると拡大できます)
図 1 黒のゾーンプレスに、白、堅実な立ち上がり。
○ 依田九段
下辺「7・十八」と黒の壁の中へ切り込みます。このあたりは、後番の宿命の苦しさでしょうか。 当然、黒は潰しにかかります。黒「8・十七」に白「8・十八」と左辺へ這う方をとりました。(解説の武宮九段も思いもよらない手と表現)
● 山田九段
左下隅、黒「3・十七」のサガリに、白、隅をあきらめ「9・十八」這いはちょっと苦しいか。
黒は「6・十七」と出て白石を遮断しました。白は「10・十七」と右下隅との連絡に期待をかけます。
○ 依田九段
白「12・十八」と下辺を固めると、黒、「7・九」と1間にトンで左辺から中央へ出ます。
白、「8・七」、「9・九」と、左辺の黒を圧迫しながら中央へ進みます。
黒、「16・十二」と右辺を固めようとすると、白「17・四」ツケと右上隅で反撃開始です。
● 山田九段
黒、右上隅に地を確保しましたが、白は右辺を白模様に変えてしまいました。しかし、まだ眼形には至らず、黒は「19・八」と白の眼を取りに行きます。
中央、黒「13・十」に、白「12・九」とコスンで、全体の形成はほぼ互角となりました。
図 2 黒、中央へ2間トビに、白、コスミ。
○ 依田九段
黒が右辺で「18・十四」と左辺をま守りますと、白はこの時点で左辺の黒の大石を追うかと期待しましたが、実際は「4・二」と左上隅にツケコシました。実利を睨むのは「決勝戦」だからでしょうか。
黒とてただ放っておけず応じましたが・・・
● 山田九段
先手をとった黒はすかさず、「5・十二」と左辺中央寄りで連絡をはかります。これが中盤の見どころのように見えます。
下辺、白「13・十五」とノゾくと、黒は単にツガずに「13・十六」と読みくらべの争そいを挑みます。
白は下辺を守りましたが、黒は「14・十三」、「11・十」と打って中央に厚く狙い通り(?)の形をつくりました。
図 3 黒は中央に壁。白は左右を連絡しました。
○ 依田九段
白「11・十五」とノゾいたあと、左辺「4・11」と堅く守りました。黒は「6・十一」とコスンで楽々と連絡しました。 白としては黒に楽をさせてしまったかも知れません。
白、上辺「8・二」とデギリ。このあと、「9・四」と黒石を崩すかに見えましたが、黒も守りを固めました。
● 山田九段
中央、白に「10・十三」とケイマにトバれて折角の壁が消されそうになります。
ここで、黒は「11・十」と白石の分断をねらいます。
黒は結局「9・十」まで進んで白の上辺からの進出を阻みました。
○ 依田九段
中央、白「11・十二」とコスンで黒からキリを防ぐとともに、黒の壁を消します。
● 山田九段
黒「9・十四」と白石の切りをねらいます。白がツグと、黒「9・十三」と下辺中央寄りに地を囲います。
図 4 黒は中央左に勢力。白は左辺の黒を撹乱するか。
○ 依田九段
中央、白は「9・十二」、「13・十二」と黒地を侵食しました。
左下隅、「2・十八」、黒ツギ。
下辺側、白、「4・十四」、「9・十五」と先手の大ヨセです。この先手がどこまで続くかが勝敗に影響しそうです。
中央、白「8・九」、「7・八」、9・六」まで先手をとって上辺中央寄りで地をつくりました。ところが、依田九段自分の頬をピシャリ。何か後悔したのでしょうか?
● 山田九段
やっと先手を取り、黒「2・十六」サガリ。左下隅を確保しました。
両者、細かいヨセの応酬のあと、終局となりました。
盤面を見ると、かなり際どい勝負に見えますが・・・
図 5 終局直前の盤面
283手 黒番 山田規三生九段 6目半勝ち 初優勝 となりました。
後 記 :
私ごとになりますが・・・先日、依田紀基九段のNHK杯優勝記念の扇子を自宅で発見しました。(写真)
親戚にもそんな記念品を得るような人物も見当たらず、何かの縁で私の手元にきたものと思い、今回依田九段を密かに応援していました。
そんな折、決勝戦の相手が山田規三生九段。 山田九段は詰め碁作成の名人で、去年、私が日本棋院の昇段テストを受け認定をいただいたときは、少なからずお世話になっているものと思い、結局両方を応援しながら、テレビ観戦することとなりました。
解説の武宮正樹九段は、碁風も大好きですが、数日前読売新聞日曜版の表紙で興味深い記事を寄せておられ、また司会も万波奈緒二段と役者揃いで非常に楽しませていただきました。
東日本大震災について:
この度の東日本大震災で被災された皆さまに心からお見舞い申し上げます。また、犠牲になられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。
地震の当日、私は、書斎にいましたが・・・
神奈川県中央部にある日本瓦の我が家の柱がギシギシと音をたてて何十秒も揺れ続け、ラジカセや蛍光灯が落下。
鞄や本も床一面に散らばったときは、ついに東京に大地震が来たと思いました。
しかし、テレビを見ると、震源地ははるか三陸沖。これは東北地方は大変だ、皆んなうまく津波から逃げてくれ、と叫んでいました。
現実は、想像をはるかに超える大津波で、言葉もありません。なんとか1日も早い復興をお祈り致します。
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「碁ガタキより腕が上がる!上巻」 URL
http://www.formpro.jp/form.php?fid=26220
* 「上巻」もくじ *
第1章:囲碁をはじめるための準備
第2章:実戦を体験する
第3章:碁譜を知ろう
第4章:囲碁のルールはどんなもの
第5章:囲碁の用語綴り(抜粋)
第6章:格言を参考にしよう
第7章:眼形の基本を知ろう
「碁ガタキより腕が上がる!下巻」 URL
http://www.formpro.jp/form.php?fid=30168
* 「下巻」もくじ *
第1章:定石は模範例
第2章:布石はプランづくり
第3章:カカリとツケで相手の様子うかがい
第4章:トビとヒラキで勢力争い
第5章:打ち込みとボウシで意地の張り合い
第6章:石の部分の形と筋
第7章:死活の基本
ぜひ見てくださいね。